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Marble Surface

-母として暮らす。教育、行き場。

よねくら ともか さん

士別出身。こども発達支援センターにて勤務。

こどものフリーマーケット「めぐるるマーケット」や

ハンドメイドワークショップなど​を留萌で開催。

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M O V I E S  . 

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I N D E X .

I N T E R V I E W  .

留萌なんて大嫌い

​ー留萌に来られたのはいつ頃ですか?

2007年の4月、結婚を機に留萌へ来ました。

 

実は、元々はずっとここに住もうとは思っていなかったんです。

子どもが大きくなる前に旭川へ移住できたらいいなと考えていて、

「それまでのつなぎ」としか思ってなく、このまちに馴染もうという気もありませんでした

ーこのまちの最初の印象を教えてください。

元々旭川に住んでいてポン、と留萌へ来たので

社会とのつながりが一切なくなりました。

留萌が悪いわけではないんですけど、すごく孤独で

「誰も私の味方じゃない、こんなまち大嫌い!」と思っていたんです。

​誰とのつながりも持てないこのまちを、私は永遠に好きになる事はない、と当時は思っていました。

救いの手、人とつながる。

ーその孤独な日々をどのように抜け出しましたか?

妊娠してつわりが始まっていよいよつらくなってきたときの事です。

士別にいる私の母が「もうだめじゃないか」と思い、私の知らない間に

はーとふる」さんに連絡してくださってたんです。

「うちの娘をちょっと助けてくれませんか」みたいな内容だと思うんですけど…

すると保健師さんがおうちまで来てくれて、

マタニティスクール」に誘ってくださったんです。

そこでの出会いがきっかけで友達、つながりっていうものが出来て、

少しずつ「孤独」や「楽しい事なんて一つもない!」というまちへの印象が変わっていきました。

ー孤独な時間、結構長かったですよね?

はい、方向音痴なのもあって、一度外に出たら帰って来られないし…(笑)

主人が居ないと何もできませんでした。でも平日はお仕事で居ないし。

ずーっと家でテレビみて、予定ががら空きのカレンダーを見て、はぁ…

そんな感じでした。

「もしかして、あなたもやってるの?」

ーそれからの出会いや変化を教えてください

マタニティスクールで出会った友人2人と「ハンドメイド活動」を始めました。

後に2人とも転勤してしまい、一緒に続ける事が難しくなってしまい

屋号を引き継ぐ形で一人で活動を続けていて。

 

そんなあるとき、

「もしかしてハンドメイドやってる?ちょっとイベント出てみない?」

と急に声をかけられたんです。

作品を発送する姿を見て気づいてくださったみたいで。

それから「もう一回イベントやるから」「もうちょっと大きいイベント出てみない?」と

色々声をかけてくださって。

この頃から「私も留萌に根付いてやっていけるかもしれない」と思うようになり、

イベントの主催者さん、作家さん、「田中青果」の美智子さんとか、

面白い事を考えている方々とのつながりができてきたんです。

「留萌をちゃんと見よう」としてからこそ繋がっていった仲ですね。

​それで、「いける!」と思って自身でイベントの主催もやってみました。

「こどもたち」を考える。ー経験を与える主催イベントー

​ー主催されたイベントについて教えていただけますか?

めぐる・るマーケット」という

「小学校3-6年生が出店し運営するフリーマーケット」です。

2019年の9月に開催しました。

主催は私、お手伝いという形で4名のスタッフがいました。

そのうち1名は深川の方で、同じようなイベントを今後やってみたい、という思いで来てくださったんです。

お金とか働く、ということに触れたり、

「自分の力でやる」「自分でできた」という成功体験をいっぱい重ねて

「自信につなげる」「やりたいという気持ちを育てる」を目的としたイベントにしました。

たまたま他市町村で開催された同様のイベントをネットで見ていて

「いいなぁ、留萌でもあったらいいのにな」と思ったのがスタートで、

​なんとか自分で実現させることが出来ました。

ーイベントの様子を教えていただけますか?

前段階として「出店ワークショップ」を行い、こどもの店長さんたちを集めて

値札の書き方、挨拶、お客さんとのやり取りもシミュレーションしました。

あとは家で各自準備してきてね、と。

がっつり準備してきた子は当日も大きな声で「いらっしゃいませ!」と言ったり、すっごい頑張るんです。

だけど親に手伝ってもらった子は自信なさげで…(笑)

そんな子達も徐々につかんできて大きな声を出せた瞬間なんかは

​「あ、来たな。頑張ってるなぁ」と思えるのがすごく楽しかったです。

ー挑戦して売り上げという形で評価が出て、という体験はとても貴重ですね

小さな子どもが買い物の練習になるように金額設定が10-300円だったので、

そんなに売り上げが出るわけではないんですよね。

でもその売上のお金で帰りに家族にラーメンをおごった子がいて。

すごくないですか?

みんなに「おいしかった、ありがとう」と言われて、頑張ったなぁと感じる経験って

とても貴重じゃないかなと思ったりしました。

ーイベント開催にあたって苦労した事を聞いてもいいですか?

フライヤーを小学校等においてもらえないかと思い、

教育委員会へ打診したのですがダメと言われて…。

本物のお金を使用することでトラブルになりかねない、と。

なので自分の力でやるしかなく、

地道にSNSで発信したりフライヤーを置かせてもらったりしました。

けど、本物のお金ってこれから生きていくうえで絶対使うし

トラブルなく生きている大人なんていないから、

小さいうちに色々体験させてあげる事の方が大事ではと私は思いました。

だから「失敗体験を重ねてください」というわけではないけれど。

「お金ってどこから来るんだろう」「お金ってどういう風に回っているんだろう」ということや

じゃあ「働くってなんだろう」「その対価ってなんだろう」と考えたり、

そうやってプラスアルファ、プラスアルファっていい体験をたくさんさせてあげるためには

本物のお金を使う事は譲れなくて、「お買い物券」などにはしたくありませんでした。

ー先ほどの「家族にラーメンをごちそうする」体験も、本物のお金だからこそ生まれた素敵な体験ですもんね。

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ーそのほかにされている活動はありますか?

実は今、ハンドメイド活動は一旦ストップしてしまっているんですが、

以前はワークショップなんかも開催していました。

年末にクリスマスブーケのスワッグ、お正月飾りを作る回で10名くらい集まっていただいて。

皆さん凄く集中して誰も話さなくなって…(笑)

でもそんな時間、大人になってからってあまりないんですよ。

「自分だけの時間を過ごせたのがよかった」って声を頂いて…

ハンドメイドで繋がった事もたくさんありますし、貴重な体験もさせてもらえたので

​またどこかのタイミングで留萌のまちにお返しできたらな、と思います。

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こどもたちを考える。ー中高生の行き場ー

ーお休みの日は何をしていますか?

私も主人も友達が多い方ではないし、割とインドアなので家で過ごすことが多いです。

行くとしたら海ですかね。

よくわからないんですが長男と次男は流木を拾うのが好きで。

整備されたビーチではなくて、流れ着いたものがそのまま置いてあるような浜の方へ…(笑)

​ー流木は何に使っていらっしゃるんですか?

私はやすりをかけて飾ったり。

息子たちが小さいころは主に戦う…?武器とかにしていましたね。

やけに長い、とか、いい感じに曲がっている、とか…

ー小さいころはそういう風に遊べても、大きくなるとそうはいかないですよね。

そうですね、最近は「小中高生の行き場がない事」がどうにかならないかなと思っています。

意外と買い物とかは事足りる…ネットだってありますし。

けど日常生活のふとした時に集まる場所、行く場所が本当になくて。

小さい子は公園が沢山ありますし、

令和4年、道の駅に「屋内遊戯施設」ができる予定ですし沢山考えられているけれど。

けど小学4.5年生になると、小さい子がいる公園では危ないから思い切り遊べないですよね。

それこそ中学生になると本当に行き場がない。

高校生は「カラオケ屋さん」があるけどそれしかない。

なんかちょっとワイワイできて、親や教師の目がなくて、みんなで集まれる

みたいな場所ってなんでないんだろうと思います。

留萌の将来的な事を考えた時に子育ての事を考えるのは大事なことだけど、

今育っている子達の事を考えてあげないと

将来的に留萌へ戻ってきたい…とはならないんじゃないかなと思います。

小さい子と同じように「子育て」という枠で考えられているのかなぁ、

何かいい案はないかなぁ、と。

ー私も留萌で学生時代を過ごしたので痛いほどわかります。中高生時代にまちを嫌いになる人は多いんじゃないかなと…。「ない」ものばかり感じて、都会への憧れが強くなりますよね。

以前歌屋さんで働いていたので高校生が来るのをたくさん見ていました。

この子たちはカラオケでいいから楽しめているけど、

カラオケが好きじゃない子やお金をいっぱい持っていない子たちは

じゃあどこに行っているんだろう?と思いました

それこそ保護者同伴でないとカラオケにも来られない中学生は、何をして過ごしているのかなと。

ー刺激や楽しい時間は「外」「都会」にしかないと思わず、

 若い子たちにも「まちを楽しむ」という経験をしてもらいたいと私も思いますが、

 新しい場所、コンテンツを作るのって難しいですよね…。

例えば「eスポーツ」みたいなものがあってもいいと思うんです。

「ただの遊びだろう」と頭から否定するのではなく、

新しいものを取り入れ、成立させる為の知識や必要なものを大人がちゃんと調べる。

知識や設備を整え、こどもたちが何かに打ち込む場をつくり上げる。

そしてその新しいものを受け入れる価値観を大人がしっかり持つことも大切になってくると思います。

ー新しいものを取り入れながら、

今あるものにも「価値を見出し、そして伝える」事もできたらいいですよね

欲しいものを選ぶだけの「受け身」から、自分で生み出す「能動的」な動きを一緒にできたらいいな、と。

自分たち大人が、学生の子たちが「何が必要で、何を考えているのか」もっと学びたいですよね。

もっと触れる機会があれば…

また考えている人は沢山いても、行動に起こすのはなかなか難しいですよね。

まちの大人を見て育っていくので、私たちの世代が頑張らなくては…

今元気にならなくちゃいけないのは学生たちと私たちだと思います。

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こどもたちを考える。ー性教育、相談の場ー

ー「こどもたちの行き場」のほかにまちにあればいいなと思うものはありますか?

AKきしさんにお洒落で素敵な雑貨が沢山あるのですが、

もう少し小さい子が雑貨を見に行けるようなお店があればいいなと思います。

あとは「大人と一緒に考える性教育の場」はどうかなと考えています。

性教育の幅って広がっているじゃないですか。

生物学的な事も大切ですが、本当に知らなくちゃいけないのは

気持ちやプライベートな部分だと思いますし

「今のこどもたちが何を考えているのか」大人が知っていなくてはいけないことだなと。

ジェンダーのお話、嫌ならNOという事、それらも全般「性教育」ですし

大人が恥ずかしがって教えないというのは

「正しい情報の判断」を子どもに委ねてしまっているのではとかねがね思っていて。

なにを感じてなにを思っているのか、一緒に考えれば大人も学べる事があると思います。

性教育って、広く「思いやり」のお話だと思うのですが、

「仕組み」は学んでも「気持ち」の部分は学校教育じゃ難しい部分ですし、

じゃあ誰が補うの?と。

関する本を買ってはみたものの、親からも子どもからも切り出しにくい…

だからこそ親以外の誰かが一緒に心のこと、身体のこと、考えられる場があったらいいですね。

年頃だから、行為へ興味が向くのは仕方がないと思うんですけど

その前段階や、心が直結している事。ちゃんと知っておく必要があります。

ーこのような事を考えるようになったきっかけはありますか?

若い子の妊娠に関わる悲しいニュースが流れた時、

ふと「相手の男の子はどうしたんだろうね?」と私が言ったら

息子は「いや、男は関係ないでしょ」と…その時に「こりゃ大変だ!」とびっくりして。

そうか、教えなくちゃいけないことなんだと。

また「いかのおすし」って教えられますよね?

危ない人が居たら逃げるんだよ、大声出すんだよ、っていう。

こどもに「なんで逃げると思う?」と聞くと「危ないから」と答えて。

「じゃあなんで危ないの?」と聞くと「?」なんです。

 

「なんで君たちに声をかけると思う?」

「かわいいから?お世話したいのかなぁ?」

確かに学校で具体的に教えられる部分ではありません。

けどもう一手がないと、本当に危険だということが伝わらない。

自分を守る事に直結するものなので、一歩踏み込んだ部分を知ってほしいと思いました。

ー生々しく、痛ましい事件の詳細はトラウマにもなりかねず難しい部分もありそうですね…

でも実体験してからでは遅いし…。

それにどちらの話も、知らなくてはいけないのは女の子だけではないですよね。

生理の事や心の事も含め、性別で隔離していてはいけないなと考えます

ーこどもたちの「行き場」や「教育」に対して考えているのは

「​こども発達支援センター」というお仕事の影響もあるのでしょうか?

それもあると思いますし、やっぱり自分のこどもたちがその世代だということや

めぐる・るマーケット」をやったこともそうだし、全部に通じて。

10年後北海道の人口は4割減るといわれているなかで

どれくらいの人がこの町に残る、戻るだろうって考えて。

一番考えなくてはいけないのは今の中高生の事だな、という話は家でよくしています。

自分らしく、るもいらいふ​。

ー留萌で生活するうえで大切にしていることはありますか?

初めのころ、留萌を好きになるには「留萌に馴染まなければならない」と思っていたんです。

だからこのまちに住んでいる人の考えに寄せる、とか

その方が手っ取り早いのかなと思っていたけど、きっとそうじゃないな

その場で「自分はどういう人です」といえる力のほうが大切なんじゃないかな、と。
 

嫌なものや嫌というとか、すごい単純なことなんだけど。

「私ってこういう人間なんです」って知ってもらったことで

イベントに呼んでもらったり繋がりが生まれたと感じているので、

「留萌での生活」に限ったことではないですが

ちゃんと自分を提示することを心がけて人と関わるようにしています。

あまり得意ではないので心がけないとできないんですけど…(笑)

 

ー同じような境遇で移住している、これからする方にアドバイスをお願いします

無理にまちを好きになる事はないと思います。

でもまちの全部が嫌なわけではない、と気づけるから。

私はこのまちで大事にしてくれた人が沢山いるし、絶対どこかでそういう繋がりができるので

「馴染まなきゃ」と思わずに「自分の生活を楽しむ」というスタンスで居れば

いい出会いにも気づけるのかなと思います。と、えらそうに…(笑)

ー最後の質問です。はじめに「こんなまち大嫌い」というお言葉がありましたが…

  今、「留萌」は好きですか?

好きになれるように頑張っているところです。

留萌の人たちに沢山助けられていますしその方たちが大好きなので、

​その人たちに近くなれるように頑張っています。

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