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Marble Surface

-リノベーション、芸術、楽しむ力

きしもと よういちろう さん

留萌市出身

2014年に東京からUターン。高齢者事業団にて勤務する傍ら

美術家として活動。陶芸や絵画の制作を自宅で行う。

きしもと えりか さん

札幌市出身

​2014年によういちろうさんの故郷である留萌へ。

2年前まで介護職として勤務。現在は専業主婦。

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M O V I E S  . 

I N D E X .

I N D E X .

I N T E R V I E W  .

よういちろうさん ☞ よ)

えりかさん       ☞ え)​   と表記させていただきます。

はじめまして、ただいま留萌

 

―まず、よういちろうさんがUターンを決めたきっかけを教えてください。

よ)10年前の東北大震災の影響で、東京でも地方移住する友人が増えていて

自分たちも視野に入れていました。また母が高齢なので、一人での生活に不安を感じ、

せっかく移住するなら生まれた土地で、と決意しました。

 

―留萌での一日の流れを教えてください。

よ)午前中は作品作りや家の周りを直したり。あとはよく海に行きます。

自分で作っているオブジェの材料を拾いに行くのが日課ですね。

自分の好きそうなものが落ちている場所に行っては拾い、彼女に怒られています。

え)あとは陶芸の粘土になる土を採掘したりしています。

よ)この辺りで採れた土を使った作品がどんな風になるのか、

出来上がってくるのが今は楽しみです。

え)通常のお仕事をされている方の日常とは

全く違う時間の過ごし方を我々はしているのかなと思います。

そんな彼の姿を見ながら、このまちで初めて専業主婦として過ごしています。

ご飯を作って、自分で作ったお皿でご飯を食べたり。毎日そんな楽しみ方をしています。

 

 

家をつくる、生活をつくる。リノベーション。

 

―現在は古いおうちを自分たちでリノベーションしながら住んでいると聞いたのですが…

よ)まずは僕の実家で母と同居したのですが、

町をよく見渡すと空き家がたくさんある事に気づき、

近所の方などからお話を聞き、住める場所はないか探しました。

え)彼の実家の二軒隣に空き家を見つけ、ポストにお手紙を入れてみました。

たまたま住んでいた方からお返事をいただき、住めることになったんです。

築90年くらいの、普通の方だと見向きもしないような古いおうちだったのですが、

彼が都内で店舗の内装・装飾の仕事をしていたので「自分たちでリノベーションしてみよう」と。

出来ないところは大工さんや市内の業者さんに相談して一緒に考えながら、今も作っている途中です。

 

よ)大工さんから「大丈夫かこれで、コンパネ(壁材、本来この上に壁紙を貼る)だけだぞ?」

え)「壁紙貼らなくていいのか?」って心配されて。

よ)逆に大丈夫です、と。(笑)

 

―まだこれからも作業は続くんですよね?

よ)部屋の中にアトリエも作ったり、それもだんだん変化していく。作りながら、古い家だから直しながら。

え)木のおうちですから、ある程度構図を理解して足したり引いたりできるかな?と

よ)手間はかかりますけど、やってて面白いですよね。

 

え)こういう風に「考え方を変えれば住めるようになる」、というモデルケースになると思うんです。

え)(東京では)周りの人にそういう(自分たちで改装して住む)ことをしている人が多かったんですよ。

よ)僕達もやりたかったんですけど、賃貸に住んでいるとできないこと、規制が多いじゃないですか。

だから自由に家の中いじったり、外の壁にペンキ塗ったりするのはずっとやりたいことだったので楽しいです。

 

 

 

なんでも「楽しむ」に変える力と、だからこそ見える魅力

 

―留萌に移住してからの印象、変わったなと思う部分はありますか?

よ)空き地も空き家も増えていて、寂しいと感じましたね…少し活気がないなという印象でした。

でも静かで、ものを作るにはすごくいい環境だなと思っています。

え)私も第一印象は「あ、しずかだ…」ですね。ただ、いいイメージしかないです。

空気が美味しいだとか、水がおいしいだとか…

え)1つ難点を言えば「吹雪が多い」ですね。

毎日毎日吹雪…びっくりしましたけど、今は慣れました。

移住される方が一番驚くのは冬の事だと思うんですね。

尻込みされる方も多いと思うんですけど…私たちは雪を楽しむんですよ。

雪かきをするにも家の前に迷路を作ったり

よ)ふざけてるよね

え)ふざけて「城壁だ~」って壁を作ったり

よ)つららを刺してみたり

え)タワーにしたりとか。

よ)もちろんくだらないこと。そんな風にしてちょっと遊び、みたいな。

え)冬はそういう風にしています。吹雪の状況も逆に良い方に(捉えて)。

ある程度人生が過ぎたところなので、さんざん色々な事を経験してきているので。

ここからの人生は楽しんで生きていかないと、という思いが二人ともありますね。

え)みなさん最初「留萌なんてなにもないのに何で帰ってきたの?」とおっしゃるんですけど、そうじゃなくて…

よ)探せば沢山(良いところが)あるよ

え)見ている視点が違えば(いろんなことが)楽しいのになと思います。

そういった冒険心や遊び心を持ちながら移住されると、面白いことが待っているかもしれません。

よ)昨年僕の都内の友人が「吹雪の写真を撮ってみたい」と、

え)「行ってみたい、吹雪を体験してみたい」という人たちがいて。何人か来て泊まってもらってます。

よ)冬の寒い時は魚もおいしいから。

「いつ行ったらいいかな?」と聞かれたら「やっぱり冬だよね」って。やっぱ留萌は冬だよね。

吹雪を味わってほしいと思います。

え)その友人も面白がっていました、感動していましたね。

―まだ留萌を知らない人には是非冬に来てほしいですよね!

よ)そうですね。一回来てみて厳しいところを見てみるといいかもしれないですよね。

え)冬が楽しいんですよ。暴風雪の日にわざわざ買い物に行ったり…

「ぎゃー!」とか言いながら歩いたりしています。(笑)

 

 

 

 

陶芸、新たな挑戦。ストレスフリーな生活があるまち。

―陶芸の活動は留萌に来られてから始められたんですよね?

え)はい、こっちに来てから陶芸を始めて、ある程度作品を作れるようになって…

よ)陶芸は東京にいた頃からやりたかった事なんですよ。

ただ場所がなかったり、あっても値段が高かったり…自分に余裕もなかったね。

 

え)こちらに移住して一番良かった事は「人的・環境的・時間的ストレスがない」という事ですね。

そこの制約がないことによって「でも楽しんでやろう」という気持ちになってきているのかな。

よ)ちょっと余裕が出てきているというか。

え)そういうところがここに越してきてよかったと感じるところですかね。

―留萌で新たに出会ったご友人、行きつけになったお店などありますか?

よ)友達は陶芸関係が多いかな。先輩ですけど。色々なところ連れてってくれたり。

よ)あとは僕が作った作品を置いていただいてるお店があって。

駅前の「ラブベジタブルタナカ」さんというところでスペースをもらって、作品の展示をしています。

で、たまにランチを食べたりだとかしています。

まちの未来を考える。―生活のインフラ、高齢化社会ということ。

え)私はこちらに来てはじめは介護の仕事を。当時の職場仲間とは今でも連絡を取り合っています。

また、このおかげで自分の親の介護時にどこがどういうふうにと、全部情報がわかって頼めるのですごい強みでしたね。

それを生かして、「あそこの一人暮らしのおじいちゃん大丈夫かしら」「あのおばあちゃん大丈夫かしら」と、職場の情報網を使って連携を取ったり。

 

―そういうご近所同士のつながりも、田舎でも今はなかなかなくなりつつありますよね

え)うちの町内は彼がずっと住んでいた地域で、ある程度分かっているのでこういうフォローがしやすいかなと。

 

―まちに増えたらいいなと思うものはありますか?

え)交通の便について。市内を循環しているバスとは別に、デマンドバスみたいなのがあれば…

乗り合いバスじゃないですけど、必要になってくるんじゃないのかな、と思います。

高齢者の方が免許返納でどんどん運転しなくなるっていうのもありますし…

よ)買い物にいけなくなるだとか

え)ヘルパーさんに頼むにしても出来ない部分はあるので、そういうシステムがあるといいのかな~と思いますね。

え)ごみの問題も今年からやってると思いますけど、ひとりの世帯のおじいちゃんおばあちゃんに…

それと同じように排雪に対しても業者のサービスだけじゃなく、地域で見るっていう在り方も必要になるんじゃないかなと思いますね。

 

 

まちの未来を考える。―空き家の活用を考える

 

 

え)移住を決意したものの、30年以上離れていた地元の情報を集める為、

都内の北海道移住情報局へ赴くも、留萌市の情報はあまり収集できず困りました。

HPにもハローワークさんの電話番号しかなく…

 

―建物がない土地がないというよりも、その情報が入ってこないという問題がありますよね。

え)持ち主が不明になっちゃってるっていうのは、それが進まない原因ですよね。

ここは自分で直していいよって家の地図があったり…

よ)空き家なんかも、個人じゃなくて市で…

できるか分からないですけどこう、買い上げて、貸し出すような形とか…

え)移住者にちょっと安く貸すとか…「好きに直していいから入ったら?」くらいのところが増えると、

意外と希望者がいると思います。DIYする人が増えていますし。

え)外側だけポンと貸しちゃえ~みたいなことがあればいいのかな。

 

―たとえば留萌でリノベーションされた家の見学や連絡の手段があったり…

そういうきっかけを待ってる人もきっといますよね。

え)うちなんかはわりと自由に(リノベーション)できているので、

市のほうでPRに使ってもらえればいいかな、くらいに思いました。

空き家でもこう住めるんだよ、古い家でもこうやれば(リノベーション)できるんだよ、とか。

よ)陶芸サークルの方に廃材がある事を教えていただいて。木なんか結構あるんですよね、床材とか。

そういうのも必要というか、欲しい人はいるんだよね。

 

まちの未来を考える。―資源の再発見と再活用、その先にあるるもいの姿

え)移住してすぐ、商工会の方に「廃材利用」でどういうことができるかと話しに行ったことがあるんです。

ただ、システムがないのでやりようがない、と。壊して、全部廃棄になっちゃう。

よ)その時に(価値を見出すために)「木の名前を付けちゃおう」って考えたんですね。

「潮風」と「木」で「ソルトウッド」とか…

東京に居たときは、古い木材等を扱ってるところにわざわざ買いに行っていましたから。

え)本当はそういう風に再生出来て次に使えるようになるんだけど、そのサイクルを作れずそのままに…

よ)「誰がやるんだ」という問題もありますし。

 

え)SDGsにも当てはまるし、元々留萌は木材が結構…

よ)アカマツだね。

え)加工もしてたらしいですね。そういうベースがある地域だからこそ廃材をもう一回利用して、

みたいなプロジェクトがあってもいいんじゃないかなぁと。

―空き家がどうこう、よりももっと先のストーリーがつながっていきますよね

え)空き家があって、壊したら廃材を活用してもう一回何かを作って…そういうね、未来に向けて。

え)多分みなさん言わないだけで、やりたいと思ってる、とおもうんですよ。できないと思っちゃってる。

よ)マイナスから言われちゃうから

え)「やろう!」と言っても、いやそれは…って

よ)そうじゃなくて一回やってみようよ、って。

一回やってみて「あ、だめだな」って思ったらそこでやめちゃえばいい。

でもやっぱり(マイナスなことを言われちゃうと)萎えちゃう、みたいな事もあるんじゃないかな。

 

ヨソモノのススメ。自分の在り方

―ちいさいまちで「どこで誰がなにしていた」という話題があがりやすいのは、都会とギャップを感じる部分だと思うのですがいかがですか?

よ)それはもう、当初はありましたね。

え)だいたいこの風貌なので。なんか普通の人と違う、という風にみられて

詮索をされることが多かったかな?最初のほうは。

よ)質問攻めにされちゃったり、いろんなこと喋んなきゃいけないとか。ちょっと疲れるなと思うことも。

 

―住んでいるうちにそういう詮索も減って行って…?

え)そうですね。我々の場合は正体不明の人で正体不明の事をやっているので、逆に活動を見せていこうと。陶芸や絵画で賞を頂いて、記事にしていただいたり。

 

―移住してくる方には、そういう注目にプレッシャーを感じる方もいらっしゃると思うので、

移住の先輩としてアドバイスを頂けないでしょうか?

え)逆にこっちから飛び込んでいくくらいの気持ちの方がいいかもしれないですね。

私も初めて留萌に来た時はやっぱり詮索じゃないけど、

なんとなく興味本位な感じで見られることがあったと思うんだけど、

逆にこちらからどんどん声をかけていって。

「ゴミ捨てどうやるんですか?」とかね、ここはゴミの分別が難しいから。

わからないことは聞いて、教えてくださいとどんどん入っていくと皆さん意外と心を開いていってくれる…

 

―移住してからの生活で、ほかに大切にしていることはありますか?

え)できるだけまわりに手助けができればなっていうのはいつも二人で話していますね。

高齢の方についてもそうだし、おうちの改装っていう話もそうだし。

それでなんかおもしろいことやろうぜー、みたいな仲間が増えるといいですよね。

家の改装なんかも「じゃあ塗るよ」「じゃあ切るよ」という人が何人か集まれば出来ちゃうことですから。

「助け合うこと」。物々交換的なことがどんどん広がればいいかなと思います。損得じゃない、不思議な感じ。

 

 

 

 

 

最後に。るもいとわたしのこれから。

 

―これから留萌でやっていきたいことなどはありますか?

よ)ものを作っていく・人にみせていく、ということを考えているほうなので、

自然を使って、インスタレーションみたいなのをやっていきたいです。

学生に向けたり、ワークショップ的なものを。

あとは展覧会、展示会というものがコロナでなくなったりだとか、活動がストップしてしまっていて。

もう一回僕たちの世代とかが奮起して新しい企画や、新しい展示をつくっていきたいなと。

え)文化芸術系に貢献できればなという思いがあります。

我々夫婦としては、商品化できるものがあれば作り出していきたいなと話していますね。

よ)今までは都会から刺激をもらっていたんだけど、逆に

「こういうもので染めた生地でこんな洋服が出来たよ」だったり

「こう加工したものがこういう風になったよ」とか、都会に発信できるものをつくるっていうのはやってみたい。

え)夢ですかね。

よ)夢。

―留萌の粘土だってまさにそうですよね

よ)多分あまり知られてないと思うんですよ。

たまたまのぼりがまで小平に行ったときに、陶芸の古川先生という方が

「この辺の土は全部焼いたことがある」「今はそんなことしてる人はいないんじゃないか?」と。

面倒くさいし時間もかかるし。

粘土なんてすぐ買えるものだから。

逆にその留萌で採れた粘土で作って見せることで、付加価値を付けるというか。

―こどもたちが芸術などのコンテンツに触れる機会になるといいですね。

え)自分の知識をちょっとだけだす大人が居れば。趣味でやってる人でも

地域で子供集めて公民館でやりましょうとか。大がかりでなくてはいいと思うんです。

―娯楽がゲームやカラオケ、買い物等のコンテンツだけじゃないって知ってほしいですね

よ)年齢を重ねると、小さい頃全然興味がなかったことが楽しくなったりしますよね。

え)なにもないって言わないように。地域の大人たちが少しずつでもかかわる勇気を持てばいいのではないかなと思いますね。

 

 

―改めて、留萌は好きですか?

よ)留萌大好きですよ

え)毎日二人で、今日もありがとうって言って乾杯するんですけど。

今日も幸せだったね、って意味を込めて。

だから今ここにいて、幸せな暮らしができてるなって思います。

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☜私も気に入った流木を持って帰る事に。

  ☟海で見つけた流木を作品に変化させていく。

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Special Thanks : SOUL KITCHEN
 

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